最古のボカロ曲を初音ミク誕生前の2003年から遡ってみる
時は2023年2月26日。
今からちょうど20年前、YAMAHAからVOCALOIDが発表されました。
MEIKOやKAITOは、初音ミクよりも前に誕生しています。
発売日はMEIKOが2004年11月5日で、初音ミクが2007年8月31日です。
つまりMEIKOと初音ミクの発売日には、3年近くの開きがあるわけです。
果たして、この期間にはどのような楽曲があったのか?
それを疑問に思った時、私は初音ミクより前のボカロを知らなかったことに気づきました。
私がボカロを知るきっかけは、初音ミクのボカロ曲「メルト」だからです。
そこで気になったので、最古とされるボカロ曲たちを調べてみました。
調べる過程で世界最古のボカロ曲が一部失われていることに気づいたので、Internet ArchiveのWayback Machineを駆使してサルベージしてアップロードしました。
- 世界最古のボカロ曲 - Most ancient sang by VOCALOID(Prototype) in 2003 - YouTube
- 【2003年2月26日】世界最古のボカロ曲を復元してみた【デモ音源】 - ニコニコ動画
1~3曲目は、2003年2月26日に公開された音源です。
動画と記事を公開したのは2023年2月26日なので、20年越しに蘇った音源ということになります。
どうぞご視聴ください。
- 2023/10/02
最古のボカロオリジナル曲、MEIKOオリジナル曲を更新しました。
ボカロオリジナル曲
更新前:2005年4月1日の「Interval of clouds」(MIRIAM)
更新後:2004年11月6日の「彼がくる」(MEIKO)
MEIKOオリジナル曲
更新前:2005年5月11日の「Close My Eyes」
更新後:2004年11月6日の「彼がくる」
※この記事におけるオリジナル曲とは、ユーザーが制作したオリジナル楽曲のこと。カバーやデモ音源は含みません。
情報を提供いただいたyonosukeさん、ありがとうございました。 - 2023/10/01
2ちゃんねるのyonosuke.netに関するレスの調査内容について、yonosukeさんの書き込みという推察が誤っていたため、訂正しました。
yonosukeさん、大変失礼いたしました。
VOCALOIDについて
VOCALOIDは2003年2月26日にYAMAHA社が制作・発表した歌声合成技術です。
News:歌詞とメロディを入力すると歌い出す ヤマハが歌声合成ソフト開発
クリプトン・フューチャー・メディア社などはYAMAHA社からライセンスを受けて発売しています。
クリプトンは2004年11月5日に同社最古のVOCALOIDである「MEIKO」をリリースしました。
クリプトンよりも前にライセンスを受けていた会社もあります。
イギリスのZERO-G社です。
ZERO-G社は2004年1月15日に最古のVOCALOIDである「LEON」「LOLA」、同年7月1日に「MIRIAM」を発売しています。(いずれも2013年末をもって販売を終了)
2003年: 世界最古のボカロ曲
デモ音源
記事冒頭のそれをなぜ最古としたのかを説明します。
また最古ではないものの、最古に近い曲たちも一緒に紹介します。
YAMAHAによるVOCALOIDのデモ音源です。
後に動画サイトなどにアップロードされた音源があるので、それも紹介します。
1つ目のデモ音源
YAMAHA社が2003年2月26日に投稿したプレスリリース記事にある音源です。
2003年2月27日のアーカイブから存在を確認できます。
- Kimi no uwasa
- さらさら雪景色
- Amazing Grace
2003年2月26日に公開されたことが分かりますから、この3曲は最古で確定です。
2003年2月26日よりも前のボカロ?曲
VOCALOIDは2000年3月から開発が始められ、約3年後に満を持して発表された技術です。
そのため、この3曲よりも先に制作された音源が存在します。
2013年8月30日にあったニコ生放送でこの辺の事情が詳細に語られており、現在はもう見ることができませんが、個人ブログ「初音ミクみく」さんによって放送の内容がまとめられています。
剣持:2000年の3月からDaisy(デイジー)という名前で開発を始めました。2年かけてプロトタイプのプロトタイプ的なものを作りました。クリプトン社を着メロでつながりで紹介していただいて、札幌のオフィスを訪問したのが、2002年7月16日。その時に持っていた資料があります。
初音ミクみく 初音ミク 6th Anniversaryニコ生で「初音ミク誕生までと、これから」特集
佐々木:今日は特別に当時のDaisyの音声を持ってきてもらっています。
剣持:2002年7月16日にお持ちしたデータをそのまま。
初音ミクみく 初音ミク 6th Anniversaryニコ生で「初音ミク誕生までと、これから」特集
(Daisyによる"Fly to The Moon"の演奏)
※恐らく「Fly Me to the Moon」の誤植ではないかと思われます。日本ではエヴァンゲリオンのED曲にも使われた曲ですね
佐々木:これが今残っているVOCALOID系の音声資料の中で一番古いものですか?
剣持:2000年当時のもっと古いのがあるんですけど。2000年の7月ぐらいの。子音がなかなか出せなくて、一番最初に「あーさー」と合成した音声が、探せば出てくるかもしれません。そこのからいろいろな声がじょじょになめらかに出るようになりました。
小林:Daisyの由来は、アメリカで、1960年代にベル研究所で一番最初に歌わせたのがDaisy Bell(デイジー・ベル)という曲だった…
剣持:それをリスペクトしてDaisyというプロジェクト名をつけました。
小林:ロマンチックな話しですね。
初音ミクみく 初音ミク 6th Anniversaryニコ生で「初音ミク誕生までと、これから」特集
「あーさー」と合成した音声は、「朝」と言われているデモソングです。
つまり、開発中も含めるならばもっと遡ることができます。
2000年7月頃の「朝」が最古のオリジナル楽曲であり、次いで2002年7月16日の「Fly Me to the Moon」が最古のカバー曲になります。
あくまで確認されている音源だけで、ですけどね。どちらも今は聴くことができません。
DAISYは後にVOCALOIDという名前になりました。
当初はVOCALOIDではなくDAISYと呼ばれていたため、厳密にはボカロ曲ではありません。
この記事ではVOCALOIDが発表された2003年2月26日以降の曲をボカロ曲として扱います。
2つ目のデモ音源
YAMAHAのVOCALOIDサイトで公開されていた音源です。
日本語版は2003年12月10日のアーカイブ、英語版は2003年12月5日のアーカイブから存在を確認できます。
- Kimi no uwasa
- さらさら雪景色(Sarasara yukigeshiki)
- Party Line
- The Point
- まほうのくるくる(Mahou_no_Kurukuru)
- 遠江恋唄(Totoumi_Koiuta)
- あなたのVOCALOID(Vocaloid_for_you)
- 24台の非同期なPDAのための合奏曲(An ensemble for 24 unsynchronized PDAs)
「Kimi no uwasa」「さらさら雪景色」は1つ目と同じものです。
最後の「24台の非同期なPDAのための合奏曲」はページ内に「NEW」の文字が見られることから、最古ではないことが分かります。
「2003年10月に開催された「ミクロ楽団」というイベントで使用された楽曲です。」という記載から、これが2003年10月以降に公開された音源であり、それ以外の音源は2003年10月以前です。
ちなみにこの「ミクロ楽団」のイベントに参加した当時の記事もありました。VOCALOIDにはほぼ言及されていませんが、4ページ目に同曲の音源が少しだけ聴ける音声データがあります。
2003年12月10日のアーカイブにある同サイトのトップページを見ると、2003年10月22日にこのサイトが公開されたことが分かり、サンプル音の追加が2003年11月24日であることが分かります。
つまりこれらのデモ音源は2003年10月22日に公開されたもので、「24台の非同期なPDAのための合奏曲」のみ同年11月24日に公開されたものです。後者は同年10月11日~12日のイベント「ミクロ楽団」で先んじて使われた楽曲ですから、こちらの方が先とも解釈可能です。
ともあれKimi no uwasaとさらさら雪景色を除けば、このサイトの音源は最古ではないことが分かります。
3つ目のデモ音源
日本語版VOCALOIDサイトで公開されていた音源です。
2011年10月3日のアーカイブから存在を確認できます。
※もっと古い記録のものがありそうですが、見つけられませんでした。これ以前にURLが変わっている可能性があります
- まほうのくるくる
- あなたのVOCALOID
- The祇園
- 遠江恋唄
「まほうのくるくる」「あなたのVOCALOID」「遠江恋唄」は2つ目と同じものです。
「The祇園」のみ、1つ目にも2つ目にもなかった音源です。
The Pointの和訳である可能性もありますが、2つ目の日本語訳からThe Pointの和訳が存在しないことが分かっているので、その可能性は低いと思われます。
ちなみにこのThe祇園ですが、「祇」は元々「ネ氏」として表示されていた文字です。
この「祇」という文字はややこしく、歴史的に表記揺れがあり、最も一般的な文字は「祇」なのですが、「ネ氏」とすることもあれば「祗」とすることもあります。
祇園精舎のJISの文字は諸行無常の響きあり その1(住所雑学シリーズ15) | 株式会社エニイ
「ネ氏」が「示氏」になったのは2004年に改訂されたJIS2004によるものです。
JIS2004は、2007年1月30日に発売したWindows Vistaで初めて対応します。
そのため、公開当時は「ネ氏」の方で表示されていたかもしれません。
公開時期は不明ですが、これが様々な媒体でメディア露出を行うであろうデモ音源のタイトルであることを鑑みると、「ネ氏」と「示氏」がOS違いによって表記が入り乱れる2007年以降ではなく、それより前の音源である可能性が高いと思っています。
※The祇園は2004年のMEIKOのデモ音源であり、最古ではないことが分かりました。
現存しているデモ音源
- Kimi no uwasa
- さらさら雪景色
- Amazing Grace
→後に巡音ルカのデモ音源(巡音ルカカバー)としても使用された模様
2003年2月26日のVOCALOID発表と同時に公開した、この3曲が世界最古のボカロ曲になります。
このうち、さらさら雪景色とAmazing Graceはネット上のどこを探しても見つからなかったので、自分でサルベージしたものが記事冒頭の動画になります。
デモ音源(アーカイブ)の直リンク
私がアップロードした音源をどこから取得したか、ここにメモしておきます。
下記に文字列としてのリンクだけ貼っておきます。(興味がある方はコピペしてダウンロードしてください)
- Kimi no uwasa
https://web.archive.org/web/20041113043311/http://www.yamaha.co.jp/news/svq/03022602/0302260201.vqf - さらさら雪景色
https://web.archive.org/web/20040218035717/https://www.yamaha.co.jp/news/2003/03022602/v0302260202.mrm - Amazing Grace
https://web.archive.org/web/20040826064909/http://www.yamaha.co.jp/news/svq/03022602/0302260203.vqf - まほうのくるくる
https://web.archive.org/web/20150523054205/http://www.vocaloid.com/music/kurukuru.mp3 - 遠江恋唄
https://web.archive.org/web/20150523054206/http://www.vocaloid.com/music/koi_uta.mp3 - あなたのVOCALOID
https://web.archive.org/web/20110815001401/http://www.vocaloid.com/demos/Vocaloid_for_you_128.mp3 - 24台の非同期なPDAのための合奏曲
https://web.archive.org/web/20061228222150/http://www.vocaloid.com/demos/MicroOrche_128.mp3
Google検索で探してもURLがどこにもないものが大半で、どの曲も一筋縄ではいきませんでした。
Kimi no uwasaとAmazing Graceは、2003年2月27日のアーカイブからダウンロードできます。
ただしダウンロードできるのはvqfファイルではなくvqlファイルで、vqlファイルの中に記載されているURLを再度Wayback Machineで検索することでURLに辿り着くことができます。
さらさら雪景色も上記2曲に並んでリンクされていますが、2003年2月27日のアーカイブにはありません。
日付を進めると、vqlファイルではなくmrlファイルでの提供になり、ダウンロードしたmrlファイルの中身を解析するとmrmファイルのURLが分かるため、そのURLを再度Wayback Machineで検索することでURLに辿り着くことができます。
vqfファイルもmrmファイルも現代では一般的な拡張子ではなく、再生環境の用意が難しいのですが、どちらもYAMAHAが提供している「MidRadio Player(ミッドラジオプレーヤ)」で再生できるため、これで再生しながらAudacityで録音し、wavファイルに変換しました。
残りの曲はWayback Machineで「http://www.vocaloid.com」(httpsではない)を調べて、.mp3でフィルタリングし、Fromを古い順でソートするとURLが分かります。
ネット上に現存していたデモ音源についても一応紹介します。
現存しているデモ音源の紹介
これらの元の音源はすべて削除されたものです。
いずれもYAMAHAなどがアップロードした公式の音源ではなく、第三者がアップロードしたものです。
またその性質上、YouTube、ニコニコ動画、Bilibili、SoundCloudなどサイトは多岐に渡ります。
ご了承ください。
なおこのうち、Party LineとThe Pointの2曲はYAMAHAではなくケーシー・ランキンさん(SHŌGUN)が権利を所持している楽曲であると思われるため、特に取り扱いに注意してください。
- Kimi no uwasa
- Party Line
→ケーシー・ランキンさん(SHŌGUN)の洋楽。VOCALOIDはコーラスに使用している - The Point
→同上 - まほうのくるくる
- 遠江恋唄
- あなたのVOCALOID
- 24台の非同期なPDAのための合奏曲
- The祇園
→これだけ見つからず。情報求む
→見つかったのでリンクを追加。英名は「The Gion」。2004年のMEIKOのデモ音源だそうです。ニコニコ動画にある動画の3曲目でも存在を確認
これらのデモ音源で歌っているのが後のLEON、LOLA、MIRIAM、MEIKO、KAITOになったのでしょう。
余談ですが、2003年11月28日のアーカイブには発売前のLOLAのデモ音源が保存されていました。
こちらも興味があればどうぞ。
CD音源
2003年7月24日に発売されたCD「HISTORY OF LOGIC SYSTEM」に収録されている、「あの素晴らしい愛をもう一度」です。
VOCALOIDが商品化される前のプロトタイプが同曲をカバーした音源であり、歌っているのは後のMEIKOとKAITOではないかと噂されています。
日付が近しい2003年8月6日に発売されたCD「To Gen Kyo ±1」の「Let's Take A Coffee」もあります。
ちなみに、ケーシー・ランキンさんのParty Lineは1997年12月12日発売のCD(SRCL-4167)にも収録されていますが、これはまだVOCALOIDが存在しない時代のものです。
後にVOCALOIDのデモ音源として同曲をリメイクしたのではないでしょうか。
2004-2005年: 商品化後最古のボカロ曲
カバー・アレンジ曲
2004年3月3日に2ちゃんねるのDTM板に投稿されたレスの楽曲です。
682 :名無しサンプリング@48kHz:04/03/03 18:54 ID:mn4TToH7
ヴォーカロイド使ってみました。1番は歌詞付、2番はLalala~♪
http://www.fragileonline.com/YSotenbavocaloid0303.mp3参考までに
【歌】ヤマハ歌声合成ソフト『VOCALOID』【声】
Behind The Maskを、左がトーキングモジュレーター、右がボコーダーで同時演奏したもの
http://www.fragileonline.com/LtmRvc_behind.mp3
リンク切れによってもうアクセスできませんが、上記は「LOLA」が歌っているもので、「おてんば恋娘-Vocaloidver-」という東方アレンジ楽曲です。
世界最古の東方ボカロアレンジ(東方VOCALOID)曲でもあります。
ちなみに「LEON」「LOLA」は売上不振であったことがクリプトンによって語られています。
世界初のボーカロイド製品は「LEON」(男声)と「LOLA」(女声)。メロディーと英語詞を打ち込むとそのまま歌うソフトで、2004年3月に英ZERO-Gが発売したが、まったく売れなかった。
「初音ミク」ができるまで:クリプトン・フューチャー・メディアに聞く(2)(1/2 ページ) - ITmedia NEWS
※2004年3月に発売したとしているのは、日本で「LEON」「LOLA」の代理店を務めたクリプトンが2004年3月に発売したため
「LEON」と「LOLA」がコケた理由は、いろいろ考えられる。音にこだわりのあるDTM(Desk Top Music)のコアユーザーをターゲットにしたこと、英国英語が米国人に受けなかったこと、パッケージが“唇”だったこと……。
「初音ミク」ができるまで:クリプトン・フューチャー・メディアに聞く(2)(1/2 ページ) - ITmedia NEWS
日本以外でも日本国内でも売れなかったことから、2ちゃんねるのレスを行った方はかなり希少なユーザーであったことが分かります。
オリジナル曲
muzie
muzieはサービス終了済みのサイトで、現在は確認できません。
幸い、muzieで発表された楽曲の一部がニコニコ動画に現存しています。
2005年4月1日のInterval of clouds(MIRIAM)、2005年5月11日のClose My Eyes(MEIKO)です。
2曲ともshu-tさんとkayaさんによるユニット「Glint Of Sound」が発表したものです。
同曲の存在は2005年12月2日のmuzieのアーカイブからも確認できます。
プレイヤーズ王国(MySoundユーザースペース)
muzieと同じくサービス終了済みですが、2006年4月14日から5月14日にかけて「ボーカロイドコンテスト」が開催されていて、このコンテストに限ってある程度まで追うことができました。
同コンテストの最優秀グランプリ「拝郷メイコ賞」を受賞した楽曲は、なんとMEIKOの元となった声の持ち主である拝郷メイコさん自らがカバーするという特賞付きです。
このような大掛かりなコンテストが開かれた理由は、プレイヤーズ王国の運営会社がYAMAHAだからでしょう。
2007年9月11日のアーカイブから曲名と一部コメントのみ存在を確認できます。
応募件数は260件。264件という情報もあります。こちらが正しいのだと思いますが、後から削除されたのでしょうか?
応募された中で最古の曲は2004年10月18日にkёiさんが公開した「僕らの約束」であることが分かります。
奇跡的にキャッシュされている楽曲ページにアクセスするとMEIKOが歌っていることが分かりますが、ボーカルなし(インスト)であること、2004年10月18日はMEIKOの発売前であることから、ここで投稿された音源はオフボーカル版であると推測できます。(そのためコンテストに応募されていること自体も謎です。なぜこのようなことになっているのかは分かりません)
ボーカルなしを除いた最古の曲は、2005年3月22日にかっちゃんKさんが公開した「ゴルファーロック/MEIKOバージョン」です。
楽曲ページは保存されていないため追うことができませんが、辛うじてMEIKOの曲であることは分かります。
かっちゃんKさんの同サイトにある掲示板のやり取りから「ゴルファーロック」自体は同氏のオリジナル曲ではないかと思いますが、コンテストに応募した曲名には「MEIKOバージョン」という記載があることから、本曲はオリジナル曲ではなくカバー曲になります。
さらにそういったカバー曲を除けば、次にオリジナル曲の可能性がある最古が2005年7月8日に公開した亜蘭_tさんの楽曲「竹田の子守唄」(1971年に同名の有名な曲が存在するのでこれもカバーでしょう)になるため、同サイトにはInterval of cloudsより前のオリジナル曲が存在しないと推測できます。
拝郷メイコさんご本人がカバーした楽曲は期間限定の公開であり、現在はもう聴くことができません。
拝郷メイコさんによれば「自分に歌えるか否かも選考基準に含めた」とのことで、これ以外の理由は語られていませんが、恐らく264曲の中から「この曲を歌いたい」と思ってご本人が選ばれた曲なのでしょう。
これを受賞した「Bye, Favorite Things」の原曲の音源がYouTubeにありました。
2022年の動画ですが、見た感じ当時の作詞作曲家ご本人のアカウントに見受けられます。
試しにアーカイブから同曲のサルベージを試みたところ成功しまして、上記と同じ曲であることを確認しました。
この楽曲は2005年12月26日に公開されたものです。
ぜひ聴いてみてください。
2ちゃんねる
2004年11月8日に2ちゃんねるのDTM板に投稿されたレスの楽曲です。
62 :名無しサンプリング@48kHz:04/11/08 02:40:02 ID:xAv+C2yC
ふと思った・・・(´・ω・`)
http://www.yonosuke.net/dtm/data/6099.mp364 :名無しサンプリング@48kHz:04/11/08 05:15:05 ID:9IYLISF0
>>62
悲しいよ。。90 :名無しサンプリング@48kHz:04/11/09 17:46:52 ID:fLvPEmkW
ヤマハ歌声合成ソフト『VOCALOID』Part3
>>62
がんばあってつくりこんでぇもぉ~
ここ最近各種スレで聴いた自作曲で一番心に染みる歌だ・・
28秒の曲です。yonosuke.netを運営しているのはyonosukeさんなので、恐らくyonosukeさんのレスでしょう。
追記(2023/10/01): このレスはyonosukeさんではなく、yonosukeさんが運営していた「yonosuke掲示板」の利用者の1人です。そこは匿名掲示板であり、第三者が音源等をアップロードできたため、当時多くのDTMユーザーによって利用されていた経緯があります。(yonosukeさんに確認済み)
なんと2023年時点でもmp3をダウンロードできたので、聴いて歌詞に起こしてみました。
頑張って 作り込んでも 歌が入ってない状況
むなしすぎる ソフトだけど
おもちゃですから
「歌が入ってない状況」の箇所はよく聞き取れず、違う歌詞である可能性が高いです。
MEIKOの初期バージョンに詳しい方、解析お願いします……。
MEIKOが発売されてから3日しか経っていません。
とりあえず使ってみたノリだと思いますが、初物であったVOCALOIDで試行錯誤していた時期で、スレ住人も総出で使い方を模索しており、「おもちゃ」という表現からもその状況を皮肉った曲と思われます。
ただ歌わせただけではなく、後ろには悲哀に満ちたピアノが鳴っており、虚しさが伝わってきます。
※曲名なし。便宜的に呼ぶなら「ふと思った・・・(´・ω・`)」ですかね
ちなみに同じくyonosuke.netのURLを記載したレスが同スレッドのPart1の772レス目(2004年3月7日)にもありますが、こちらはファイルが消えていてオリジナル曲か否かが確認できませんでした。
追記(2023/10/01): 動画サイトの音源
YouTubeのサービス開始日は2005年12月15日(ベータ版は2005年5月)です。
ニコニコ動画のサービス開始日は2007年3月6日(動画投稿が可能になる前を含むと2006年12月13日)です。
つまり音源の最初のアップロード先が動画サイトである場合、その時点で上記以降ということになります。
しかし動画サイトにアップロードするより前に、他のサイトにアップロードしていた可能性があります。
上記の動画の音源は、過去にmuzie等に投稿していたようです。
また歌詞が記載されていたり、「絆」とほとんど同じタイミングで「永遠の約束」という楽曲をアップロードしており、同じチャンネルに「air mail」「NOISY NOISY」という楽曲があることも分かります。
(他にもたくさんあります)
結論から述べると、上記の楽曲はすべてMEIKOによるカバー曲です。
オリジナルは「TRIO」というバンドの曲になります。
検証のため試してみたところ、2006年4月24日時点のmuzieに登録していた14868組のアーティストのうち、12249組のページのサルベージに成功しました。
そしてそのページ群を探し、上記の動画の方と思われるアーティストのページを発見しました。
「TRIO」というインターネット上で結成したバンドで、リーダー・作曲担当・ボーカル担当の3名に分かれていたようですね。
リーダーが猫ちゃんというユニークなバンドです
2003年8月~9月にアップロードしたことが分かります。
ファーストアルバムの「ちいさな絆」に「絆 ~君に捧ぐ~」もあります。
このページからバンドの当時のホームページのサルベージに成功し、「絆 ~君に捧ぐ~」がYouTubeの「絆」と同じであることが確認できました。
「絆 ~君に捧ぐ~」は2003年6月の楽曲であることが分かります。
またこの楽曲は最初の作品であり、YouTubeの概要欄でも「作曲としても処女作」「沢山の思い出も、思い入れもある曲」と述べられているので、辻褄が合います。
YouTubeの投稿者は当時の作曲担当の方であると推測できます。
そしてバンド「TRIO」の楽曲であり、ボーカル担当が歌ったことが分かります。
音源はサルベージできませんでしたが、YouTubeの概要欄には生歌バージョンの音源があるため、恐らくこの音源が当時ホームページにアップロードしていた音源なのでしょう。
MEIKOバージョンの音源はサルベージできませんでしたが、muzieのページは全てサルベージできたわけではなく、YouTubeの投稿者も(時間が経っていることから)記憶があやふやな部分が多いと述べられているので、実際にいつアップロードされたか、その真相は不明です。
※念のため2004年11月11日でも再検証してみましたが、見つからず
しかし少なくとも、MEIKOバージョンの「絆」はオリジナル曲ではなくMEIKOによるカバー曲になります。
同時期にアップロードしたと述べられている「永遠の約束」についても当時のサイトで2003年8月の楽曲であることが分かるため、同様です。
追記(2023/10/01): yonosuke.net
2ちゃんねるのレスにあったyonosuke.netの運営者はyonosukeさんです。
当時は第三者がyonosukeさんが運営していた掲示板に音源を投稿しており、さらに古い音源が残っていました。
「https://yonosuke.net/dtm/data/」から確認すると、2004年11月のMEIKOと思われる音源が2つあります。
※上記ページには元々リンクがなかったのですが、yonosukeさんとコンタクトを取った時、現存している音源のリンク先を公開いただいたようです。ありがとうございます。
- (2004-11-05 20:04) https://yonosuke.net/dtm/data/6042.mp3
- (2004-11-06 04:43) https://yonosuke.net/dtm/data/6053.mp3
MEIKOが誕生したのは2004年11月5日なので、当日と翌日に投稿された音源です。
Interval of cloudsよりもさらに古い音源ということになります。
前者は25秒の音源です。
今日も朝から2ちゃんねる
あー素晴らし ぬるま湯人生
暗黙行間読めないけれど
とにかく書きこみ「お前うざー」
これは「ぬるま湯人生論」というFLASH動画を元ネタとしています。
投稿者は下記と思われます。
960 :retribution ◆1/swf/4GSY :04/11/05 20:11:57 ID:bH9/pJjP
今日メイコが届いたので、早速説明書もロクに見ずに作ってみました。
http://www.yonosuke.net/dtm/data/6042.mp3
やっぱ、ちゃんと考えて作らないと、不自然ですね。うーむ、歌詞は一音一音書かないと駄目なんですかねぇ?
ドキュメントトーカーでは、歌詞は歌詞で一気に歌詞ウインドウに書いたんですが。まぁ、ドキュメントトーカーと違って、音があんまりズレないので、そこはまぁいいかー。
元ネタ: http://members4.tsukaeru.net/retribution/oto/jinseiron.mp3
https://pc4.5ch.net/test/read.cgi/dtm/1046318791/
(これは http://www.createsystem.co.jp/dtalkerWin.html )
「2ちゃんねる」の項と同じVOCALOIDスレ(Partは違います)で、使い方を模索していることが分かります。
デモ音源的な側面が強いですね。
後者は4分9秒の音源で、ファイルのプロパティを確認すると曲名が「彼がくる」であること、タイトルからMEIKOが歌っていること、作曲家はmsgさんであることが分かります。
この「彼がくる」が歴史上初のボカロオリジナル曲です。
サビの「明日がひどく遠い」「黒い影が歩く」というワードで検索してもヒットしないので、オリジナル曲と思われます。
MEIKOのリリース翌日(それも深夜4時の投稿)ですから、MEIKOオリジナル曲としてはこれよりも早い投稿はないと見てよいでしょう。
これより古い楽曲はmuzieからも見つかりませんでした。
また、yonosukeさんから当時の匿名掲示板のレスの一部をいただくこととなりました。
msgさんの当時のブログ名とブログのURLなどが記載されていて、サイトは消えていたのですが、内容を一部サルベージすることができました。
(yonosukeさん、重ねてありがとうございます。
また他人の過去の日記を勝手に公開する感じで少々心苦しいですが、ご了承ください)
■2004/10/29 (金) ラウンジ・リザーズ いい!
これはエレピ専用のソフト音源の名前であるが、そのネーミングが最高だ。自分がたいへん大変たいへん好きなバンド、アート・リンゼイ率いる『Lounge Lizards』と同じなのである。フェイク・ジャズという種類の音楽をやっていたバンドである。『Bown By Low』って映画まで見に行ったほど、好きだった。で、音がこれまた良い。EmulatorXのエレピなんか比べ物にならない。いや~~~すごいわ。この音源。もう全ての曲に使ってしまうだろう。そのくらい真剣にいい。
初めてのメロディー先行型楽曲・日本語歌詩に使いまくっている。軽いボサノバタッチな曲だ。『彼がくる』という題名だ。ボーカルはVocaloidのメイコ(11/5入手予定)だ。ちゃんと歌ってくれるのだろうか。よって、メイコが届かないと永遠にアップできない。
しかし、リズムがやばい。Groove AgentのメニューにBosanovaっていうのがあるが、いかんせん音が最悪ぐらい良くない。結局、Midiで吐き出して、Kick,Snare, HH,TOM全部差し替えた。それでもオカズが良くない。で、決めた。部分的にではあるが、自分でリズムを打ち込んでみよう。
ぜんぜん、うまくいかないよ。どうしよう。こりゃぁ時間かかるわ。
https://web.archive.org/web/20041103074546/www4.diary.ne.jp/user/463758/
■2004/10/30 (土) DTMって
DTMを始めて、そろそろ一ヶ月になるが、近頃自分のやっている音楽作成行為はDTMのようでDTMでないような気がしてきた。何故かと言えば、『DTM=打ち込み』的要素が皆無だからだ。Cubaseをマルチトラック・テープレコーダーとして使っているだけなのではないか。要は全てリアルタイムに生弾きしているからだ。ギターとベースはオーディオ・データ、それ以外は演奏データとして記録され、生で叩けないドラムは打ち込めずに、既成のリズムを使うわけだ。MIDIのSysEXがどうとかMSBがどうとか書いてあっても、そんなもの使うのか?って思ってしまうのだ。当然、演奏後のエディットは画面開いてしているが、なんかDTMなのかデジタル・レコーディングなのかワケがわからなくなってきた。DTM=デスク・トップ。ミュージックなのだから、こういうやり方でもいいのかな。
9曲目『彼がくる』の演奏部分は出来た。メイコ待ちだ。それまでに打ち込み~~~~!!って曲をがんばってトライしてみようか。
https://web.archive.org/web/20041103074546/www4.diary.ne.jp/user/463758/
DTMを初めて1ヵ月目の作品であることが分かります。
またMEIKOを発売前に予約しており、MEIKOを使用する前提で事前に演奏部分を作っていたことが分かります。
■2004/11/02 (火) 昨日と一昨日の日記
昨日と一昨日は気合入れてオリコン11/1付けベスト20を聞いたので感想を書いてみた。前置きとかが字数の制限で書けなかったので、今書いている。前置きといっても特になにもない。Vocaloidメイコが届かないので、気合を入れて20曲聴いただけだ。CDを1枚ずつ買いにいったわけではない。オリコンチャート見ながらORAとかの音楽配信サービスでダウンロードしただけだ。便利な世の中だ。安くつくが昔で言うB面の曲までは聴けない(購入までして聞こうとは思わない)のが少し欠点といえば欠点かな。でも、こういう配信の仕方は作家さんにはたいそう不利益だね。元が安いだけでなく、カップリング曲が購入されるケースはCDだと100%なのに20%以下なのではないだろうか?カップリング曲からやっと採用されるようになった新人の作家さんとかには死刑宣告のような制度のような気がする。
https://web.archive.org/web/20041103074546/www4.diary.ne.jp/user/463758/
パッケージ版のVOCALOIDを購入すると、発売日よりも先に配送されることがあります。
後にリリースされる「鏡音リン・レン」や「巡音ルカ」などでも同様の現象があり、それらでは発売日よりも早い公開日のオリジナル曲が存在します。
現代では厳重に管理されることが多いですが、当時は珍しいことではなかったのです。
そのため、発売日よりも早く届く可能性がありました。
msgさんには「MEIKOは11/5入手予定である」という認識があり、内心「早く届いたりしないだろうか?」と心待ちにしていたことが分かる文章です。
2004/11/05および2004/11/06付近の記録は見つかりませんでしたので、楽曲を公開した時の気持ちなどを調べることはできませんでした。
(恐らくその日付近の記録もあったと思われますが、アーカイブからも消えていると思われます)
また後の記録から、MEIKO以前にVOCALOIDを使用していたことも分かります。
※つまり「ボカロオリジナル曲」という括りならばこの時点でさらに遡れることほぼ確定です。現在調査中
■2004/11/21 (日) 今回は童謡を作ってみた
メイコの声は童謡にいのでわ、と思ってそんな感じで作ってみた。坂本龍一みたい風にしたかったわけだが。。。シュールな童謡、DADAな童謡を狙ってみた。メイコの声は何もいじっていない。歌詞いれてレンダリングしただけだ。http://homepage2.nifty.com/msg/DanceLesson.mp3
<<履歴>>
https://web.archive.org/web/20041127201852/http://www4.diary.ne.jp/user/463758/
2004.11.15 - http://homepage2.nifty.com/msg/nakajima.mp3
2004.11.13 - http://homepage2.nifty.com/msg/iihi_tabidachi.mp3
2004.11.06 - http://homepage2.nifty.com/msg/Mr.Hyena.mp3
2004.11.05 - http://homepage2.nifty.com/msg/KareGaKuru_with_Meiko.mp3
2004.10.21 - http://homepage2.nifty.com/msg/Homade_118BPM.mp3 (Vocaloid)
2004.10.19 - http://homepage2.nifty.com/msg/Daydream_Believer_with_Vocaloid.mp3
2004.10.17 - http://homepage2.nifty.com/msg/Head_Nod_87BPM.mp3 (Vocaloid)
2004.10.16 - http://homepage2.nifty.com/msg/Buju82BPM.mp3 (Vocaloid)
2004.10.12 - http://homepage2.nifty.com/msg/120BPM_Life.mp3
2004.10.10 - http://homepage2.nifty.com/msg/ATC128BPM.mp3
2004.10.08 - http://homepage2.nifty.com/msg/1st.mp3
※「KareGaKuru_with_Meiko.mp3」の日付が2004.11.05になっているので、yonosuke.netにアップロードした時間が11月6日だっただけで、実際には11月5日が正しい可能性もあります
上記からブログを移行しており、移行後のブログも消えていましたが、内容をサルベージして少しだけ読ませていただきました。
中高大とバンドを組んでおり、ロンドンに留学していた時期やサラリーマン時代にもバンドを組んでいたとか。
主にベースと作曲と曲のタイトルを担当しており、ボーカルを担当していたこともあったそうです。
相当の音楽好きと思われます。
この頃は歌ものを作るなら自分で歌うか、歌ってもらえる人を探すという2択だった時代です。
VOCALOIDが世に知られるきっかけは初音ミクであり、VOCALOIDはニッチな存在だったからです。
このように音楽経験が長く作曲経験もある方がDTMを始める時に壁になったのは、ボーカルでした。
msgさんがなぜVOCALOIDに歌ってもらったか、その理由が当時のブログ(※)に記載されています。
※何度かブログの移行を行っていたようで、下記は現在でも閲覧可能です。ただし更新は2007年を最後に途切れています
なぜこのようなソフトをボーカルパートで使っているかといえば、自分は唄がヘタだからだ。昔はうまいと思っていた頃もあったし、20年ちょっと前は3ピースのバンドでベース/ボーカルを担当していたこともあったのだが、録音環境が良くなればなるほど、そのヘタさを実感してきて、どんどん自分の唄が嫌いになり遂に唄うことはもうやめたわけである。以前は率先して唄いまくっていたカラオケにいっても絶対唄わないような人間になってしまった。そして唄わないという行為は、唄う能力を大きく退化させるようで、最近、こっそり嫁さんと二人だけでカラオケに行ってみたのだが、以前はオハコにしていた曲でも、声が全然出なくなって、唄えなくなっているし、音程も正確に追えなくなっていた。しかもすぐに咳き込むのである。もう終わりだ。人生の終焉のように感じた。悲しかった。しかし作曲における歌心みたいなものはどんどん増してきているような気がするのだ。唄うことに対する憧れが増してきているように思う。で第2の理由は表現力のある楽器(自分の場合はギター、吹ければSAX等)よりも歌詞が乗せれるという理由でメロディーに色をつけやすい、ことがあげられる。
http://msg.seesaa.net/article/4453358.html
「ボーカルを担当していた頃は良かったが段々と自分の唄を嫌いになり、とうとう唄うこともできなくなったが、歌に対する憧れは増していった」ということのようです。
元記事では「LOLA」と「LEON」の耳コピ曲を公開(現在はダウンロード不可)しており、MEIKO以前に使用していたVOCALOIDはLOLA/LEONであったことが読み取れます。
ところで、MEIKOの名前はMEIKOの声の持ち主である拝郷メイコさんを由来とします。
この頃のVOCALOIDの声を当てる仕事の認知度は皆無で、初期のクリプトンは仕事の依頼に苦労しています。
拝郷メイコさんが仕事を引き受けた理由は、クリプトンの担当者の言葉に感銘を受けたからです。
『MEIKO』の仕事を引き受けた理由について、「世の中には、曲を作っても、歌ってくれる人がいなくて困っている人がいる。VOCALOIDは、(その人たちの力になり)音楽の幅を広げる」という担当者の言葉に感銘を受けたから、と語った拝郷。
“中の人”がボカロ曲を歌う!? そして最後は歌姫降臨! 『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- F』発売記念イベント開催 - ファミ通.com
まさしくこのような方のためのVOCALOIDだったのでしょう。
初音ミク登場以前のVOCALOIDは「歌ってもらえること」に意味があったことが分かります。
今となっては「ボカロ曲」という一大ジャンルになり、VOCALOIDはとても大きな存在になりました。
VOCALOID以外にも歌声合成技術は数多く存在し、厳密にはVOCALOIDではない曲であってもボカロ曲と呼ばれるようにすらなりました。
「歌ってもらえること」を超えた意味がそこにはあります。
それでもなおVOCALOIDは、私たちの手に届く位置にいます。
当時から現在まで変わりません。
これが当たり前のことになったのは、楽しい出来事や辛い出来事がたくさんあって、盛り上げたり頑張った人たちがたくさんいたからです。
こちらは執筆中の記事ですが、興味があればご覧ください。※クッソ長いので時間がある時にどうぞ
動画サイト最古のボカロ曲
アップロード日
動画サイトにアップロードされた日付が最古のボカロ曲です。
オリジナル曲でもあります。
2005年12月30日にkarimonoさんが公開した「メロディック妹メタル」です。
YouTube上は2006年9月14日、ニコニコ動画上は2007年3月6日(※)になっています。
※なんとSMILEVIDEOのサービス開始日(ニコニコ動画に動画をアップロードできるようになった日)です。
2022年にご本人がアップロードした動画(内容は同じ)もあるので、こちらも合わせて紹介します。
YouTubeとニコニコ動画の両方で最古のボカロ曲を記録しています。
歌っているのはMEIKOです。
なお余談ですが、この楽曲の歌詞は初音ミクの登場を予言していると言われています。
この楽曲の歌詞には、
メロディック妹メタル~妹ライン10/10~ (sm6772) [動画記事] - ニコニコ大百科
「40FF42(エメラルドグリーン)の眼差しで」 「ツインテール」 「『まってて、お◎◎ちゃーwヘ√レv~wヘ√レv~―』」 「"最初の歌"(新しい音)が 時法を統べる」
等のモチーフが登場する。
またタイトルの「妹」も含めて、この楽曲が発表された一年半後に発売され、VOCALOIDを代表する存在となって新しい楽曲世界を作り出す、歌っているMEIKOにとっては妹分に当たる「初音ミク」を思い起こさせるキーワードのようで、彼女の存在を予言しているものではないかと話題になった。
この楽曲が作られた頃、まだ初音ミクはデザインされていません。
初音ミクという名前もありません。
それどころが初音ミクの最初のバージョンのベースになったVOCALOID2の発表すらもされていません。
種明かしをすると、歌詞のモデルとなったキャラクターが初音ミクではないからです。
歌詞中に登場する人物は、「月は東に日は西に 〜Operation Sanctuary〜」という18禁恋愛ゲームに登場する「渋垣茉理」をイメージしています。
ところが、このキャラクターの眼の色は緑色(エメラルドグリーン)ではありません。
青色なのです。
日本語では緑色と青色を同一視すること(青りんごや青信号など)があるため、混同したとも考えられますが、歌詞ではカラーコード(40FF42)が明確に指定されていることから辻褄が合わず、さらに謎を呼んでいます。
もしも偶然にもそうなったというなら、それは神の悪戯だと思います。
曲の雰囲気もさることながら、オーパーツ的な魅力がある不思議な楽曲です。
100万&1000万再生
2007年9月20日にika_moさんが公開した「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」です。
オリジナル曲でもあります。
2007年10月15日にニコニコ動画で100万再生を達成しました。
ボカロ曲史上初です。
2007年10月15日22時18分、100万再生突破。
100万再生達成までの所要時間は25日20時間56分と、「FREELY TOMORROW」の20日6時間4分に破られるまでVOCALOID楽曲では最速であった。
みくみくにしてあげる♪とは (ミクミクニシテアゲルとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
同曲は、初音ミクが発売された直後のいわゆるボカロ黎明期と言われる時期の楽曲であり、二次創作ならぬ三次・四次創作と言える未曽有の現象を巻き起こした歴史的な楽曲でもあります。
初音ミク関連で最も人気の高い動画は「みくみくにしてあげる」で、ニコニコ動画では3月16日時点で389万回以上再生されている。「みくみくにしてあげる」は、鹿児島弁や熊本弁などのご当地バージョンも登場するなど、派生コンテンツが数多く生まれているという。また、あるユーザーが楽曲を作ると、それに触発されたユーザーが楽曲に合わせたイメージ画像を制作するなど、ユーザー同士の協業が進んでいることも特徴であるとした。
「初音ミクの著作権ってどうなの?」販売元のクリプトン伊藤社長が講演
100万再生達成後に、当時の音楽業界が抱える根の深い問題が引き起こした「初音ミクJASRAC登録事件」に巻き込まれるなどの災難もありましたが、それすらも乗り越えて愛され続け、2012年8月30日に1000万再生を記録しました。
2012年8月30日 11時43分、1000万再生突破。
今回は初音ミクの誕生日当日とはならなかったが、また一つ大きな壁を突破。ニコニコ動画において4番目の、音声合成分野においては初の1000万再生動画となった。
みくみくにしてあげる♪とは (ミクミクニシテアゲルとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
100万再生と1000万再生の両方で最古を記録したボカロ曲ということになります。
1億再生
2020年4月13日にChinozoさんが公開した「グッバイ宣言」です。
オリジナル曲でもあります。
2022年7月27日にYouTubeで1億再生を達成しました。
1億再生はボカロ曲史上初です。
ボカロP Chinozo(チノゾー)さんの楽曲「グッバイ宣言」が、YouTube再生回数一億回を突破しました。再生回数一億回は、ボカロ史上初の快挙となります。
「グッバイ宣言」YouTube再生回数一億回突破!【注目ワード】 | アニメイトタイムズ
なお、同曲は2021年のTikTok楽曲再生数1位を記録しています。
その再生回数はなんと32億5000万。
ショート動画を投稿するインフルエンサーや学生などの一般人をも引き寄せました。
※ちなみにここでのTikTokにおける再生回数は、ユーザーが投稿した該当の楽曲を使っているショート動画の総再生回数です
2010年代末期から台頭したVTuberや「プロジェクトセカイ カラフルステージ!」(プロセカ)の影響もあり、2020年以降のボカロ曲の盛り上がりは凄まじいものです。
それを象徴する楽曲でしょう。
クリプトン社の最古のボカロ曲
ユーザー制作のボカロオリジナル曲のみまとめます。(つまりカバーとデモ音源を含まない)
「MEIKO」「KAITO」が生まれた頃は動画サイトが流行る前だったので、初音ミクより前と以降で探し方が全く異なることに注意です。
MEIKO
既にこの記事で紹介した楽曲ですが、もう1度。
2004年11月8日の2ちゃんねるに投稿された楽曲が最古です。投稿者は恐らくyonosukeさんでしょう。
追記(2023/10/01): 上述の通り、このレスはyonosukeさんではなく、yonosukeさんが過去に運営していた「yonosuke掲示板」の利用者の1人です。投稿者は匿名であるため不明です。
62 :名無しサンプリング@48kHz:04/11/08 02:40:02 ID:xAv+C2yC
ヤマハ歌声合成ソフト『VOCALOID』Part3
ふと思った・・・(´・ω・`)
http://www.yonosuke.net/dtm/data/6099.mp3
しかし28秒という短さで、かつデモ的に制作したという性質がある楽曲です。
作品性の強い楽曲であれば、2005年5月11日にshu-tさんが公開した「Close My Eyes」になります。
この2曲から分かるのは、2004年11月8日の時点で歌い方がよく分からなかった「MEIKO」が、半年後にClose My Eyesを歌っていたということです。
shu-tさん(shu-tP)は伝説のMEIKOマスターとも言われており、同氏はこの約4年後に「Change me」を公開しています。プロセカにも収録されていますね!
MEIKOの歌わせ方をいち早く理解した世界最古のVOCALOIDマスターとも言えるでしょう。
余談ですが、KAITOの名付け親はshu-tさんです。
クリプトンは2005年12月28日~2006年1月10日に男性版VOCALOIDの名前の公募を行っており、それに「カイト」で応募したところ採用通知メールが届いたと、当時のご本人のブログ(Intenet Archive)に記載があります。
追記(2023/10/01): さらに古い記録(yonosuke.net)
2ちゃんねるのレスにあったyonosuke.netの運営者はyonosukeさんです。
当時は第三者がyonosukeさんが運営していた掲示板に音源を投稿しており、さらに古い音源があります。
- (2004-11-06 04:43) https://yonosuke.net/dtm/data/6053.mp3
MEIKOが誕生したのは2004年11月5日なので、翌日に投稿された音源です。
この2004年11月6日にmsgさんが公開した「彼がくる」が最古のMEIKOオリジナル曲になります。
KAITO
KAITOの最古のオリジナル曲は、2007年11月27日にわんだらPさんが公開した「万感吟遊」です。
同氏が2007年11月17日に公開した「wanderer」もあるのですが、こちらは同氏が既に初音ミクの楽曲として公開していた音源のカバーになります。
しかし、実はこれらよりも先にKAITOが歌っているオリジナル曲があります。
2007年9月23日に鼻毛Pさんが投稿した「この想い伝えたくて」です。
初音ミクとのデュエットです。
春風の中、好きな子(初音ミク)と歩いているところ、右の鼻毛が満開であると悟られるも、初音ミクはなかなかそれを指摘できない。
そういうシチュエーションで第三者と思われるKAITOが何の関連性もないラップをするという曲です。
KAITOは「残念なイケメンお兄さん」という若干ネタ的な二次創作イメージも持ち合わせているのですが、当時この動画で初めてKAITOの存在を知った方もいると思われますので、恐らくこの動画のイメージが現代まで影響を及ぼしたのではないでしょうか。
これが10年後のMitchie Mさんによる「大江戸ジュリアナイト」のような曲に派生したと考えてみるとエモいか……?
これが歴史上初のKAITOのオリジナル曲になるのはあんまりだと思いませんか?
「万感吟遊」を最古ということにしましょう。
こちらは民族音楽であり、男性ボーカルならではの勇ましさを感じられます。
MEIKOや初音ミクでは表現できなかったことです。
KAITOが発売したのは2006年2月17日です。
MEIKOは発売してからおおよそ半年でオリジナル曲が作られていたのに対し、KAITOに1年半以上の空白があるのには、当時の売上が芳しくなかったという背景があります。
追記(2023/10/01)
2006年4月24日時点のmuzieに登録していた14868組のアーティストのうち、サルベージできた12249組のページからはKAITOらしき楽曲は見つかりませんでした。
※サルベージできたのは「投稿日」「楽曲名」「投稿コメント」のみです。音源のサルベージはほとんど不可能でした
2006年4月24日~2007年9月23日の期間にあるのではないかと思っています。
もしもご存じでしたらご連絡ください。
初音ミク
2007年9月6日にsoundrootさん(爆音P)が投稿した「僕なりのDEMO SONG」です。
YouTubeとニコニコ動画の両方にアップロードされていたのですが、どちらも削除されており、元音源は確認できません。
元音源ではありませんが、同曲のリミックスバージョンは現存しているので紹介します。
上記を除くならば2007年9月9日に目玉Pさんが投稿した「迷惑なあなた」です。
鏡音リン
2007年12月26日にかたほとりPさんが投稿した「Love me らんらんるー」です。
初音ミクとのデュエット曲です。
ちなみにカバー曲であれば以下が最古であると思われます。
鏡音レンとのデュエット曲です。(鏡音レンのカバーとしても最古)
鏡音リン・レンの発売日は2007年12月27日であるのに対し、上記は2曲とも1日早い投稿です。
後者の動画の説明文に「フラゲといわれて封筒を見たら12/27厳守でお願いしますとか書いてあった…クリプトン様で買ったんだけどな。」と記載があるので、正規の手段で購入しても早く届いてしまう可能性があるものと思われます。他にも12月26日に投稿された動画や同様の証言が複数件確認できました。
届いたらそりゃ開けるよね。
発売日以降に投稿された曲を正規の記録と仮定するならば、2007年12月27日にmetalheartさんが投稿した「ドキドキ☆百合学園」です。(1時39分投稿なのでこちらも早く入手したと思われます)
こちらも初音ミクとのデュエット曲です。
鏡音レン
2007年12月28日に早漏Pさんが投稿した「ニコちゅう」です。
動画は現在削除されていて音源も確認できませんが、初音ミクWikiから歌詞と投稿時間のみ確認できます。
(歌詞とコメントから察するに、デモ的に歌わせた短い音源と思われます)
上記を除けば、2007年12月28日に子猫Pさんが投稿した「つめの窓」です。
鏡音リンとのデュエット曲です。
ちなみにニコちゅうが7時11分で、こちらが8時47分です。
巡音ルカ
2009年1月28日に子猫Pさんが投稿した「メグルオト」です。
なお巡音ルカの発売日は2009年1月30日であるため、上記は発売日より前に投稿されたものです。
鏡音リンと同様の事情と思われます。
発売日以降だと2009年1月30日にKITさんが投稿した「AROUND THE SOUND」です。
クリプトン社以外の最古のボカロ曲
楽曲やキャラクターが比較的メジャーであると思われるVOCALOIDたちの最古曲を紹介します。
初めて知る方向けに簡単な説明も交えています。
本当は全部まとめたいくらいですが、途方もないので一部だけです。ご了承ください
UTAU、CeVIO AI、NEUTRINOやVOICEROID、VOICEVOX等は含めていません。
記載しているのは2023年2月26日時点で「VOCALOID」として発売されている製品のみです。
記載がない例:重音テト、弦巻マキ、可不、京町セイカ、琴葉茜、琴葉葵、東北きりたん、ずんだもん、など
Megpoid(GUMI)
GUMIは、2009年6月26日に株式会社インターネットが発売したVOCALOIDです。
声優の中島愛さんの声を元に生まれました。
当時のデモ曲は公式ページから聴くことができます。
歴史上初のオリジナル楽曲は、2009年6月25日にかたほとりPさんが投稿した「ハロー!ハロー!」です。
GUMIの発売日は2009年6月26日であるため、上記は発売日より前に投稿されたものです。
発売日以降であれば2009年6月26日に右マッチPさんが公開した「キモチ」です。
GUMIの代表曲は、164さんの「天ノ弱」、Last Note.さんの「セツナトリップ」、kemuさんの「イカサマライフゲイム」辺りでしょう。
他にもたくさんありますが、GUMIというキャラクターに対して上記の曲のようなイメージを抱いている方が多いのではないでしょうか?
結月ゆかり
結月ゆかりは、2011年12月22日に株式会社AHSが発売したVOCALOIDです。
声優の石黒千尋さんの声を元に生まれました。
当時のデモ曲は公式YouTubeチャンネルの動画から聴くことができます。
なお、VOICEROID・VOCALOIDとして同時に発売しています。
結月ゆかり自体は、株式会社AHSではなく株式会社バンピーファクトリーのキャラクターです。
歴史上初のオリジナル楽曲は、2011年12月22日にななしさんが投稿した「コモリウタ」です。
この辺りから読み上げソフト分野にもVOCALOIDの系譜が入り込み、読めて歌えるキャラクターが登場したことが分かります。
結月ゆかりの代表曲は、和田たけあき(くらげP)さんの「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」、うたたPさんの「幸せになれる隠しコマンドがあるらしい」、なきゃむりゃさんの「幾望の月」辺りでしょう。
どちらかというとVOICEROID(読み上げ)としての知名度が高いイメージがありますが、実はVOCALOIDでもあります。
IA
IAは、2012年1月27日に1st PLACE株式会社が発売したVOCALOIDです。
歌手のLiaさんの声を元に生まれました。
当時のデモ曲は公式サイトから聴くことができます。
※なぜか記載がありませんが、以下の3曲もデモ曲です
歴史上初のオリジナル楽曲は、2012年1月27日にあルカPさんが投稿した「Little HERO!!」です。
IAの代表曲は、kemuさんの「六兆年と一夜物語」、じんさんの「チルドレンレコード」、Orangestarさんの「アスノヨゾラ哨戒班」辺りでしょう。
IAというキャラクターに対して上記の曲のようなイメージを抱いている方が多いのではないでしょうか?
flower(フラワ)
flowerは、2014年5月9日に株式会社ガイノイド(吉本興業株式会社)が発売したVOCALOIDです。
元となった声の持ち主は明かされていません。
当時のデモ曲は以下です。
歴史上初のオリジナル楽曲は、2014年4月17日にHoneyWorksさんが投稿した「イノコリ先生」です。
ですがflowerの発売日は2014年5月9日なので、3週間ほど時期に差があることを鑑みると、これもデモ曲であると思われます。(デモ曲であると明言されている記述が見つかりませんでしたが、恐らくそうでしょう)
上記を除けば、2014年5月10日にs.f. さんが投稿した「神との戦い」です。
flowerの代表曲は、Chinozoさんの「グッバイ宣言」、バルーン(須田景凪)さんの「シャルル」、かいりきベアさんの「ベノム」辺りでしょう。
キャラクターの知名度が高いとは言い切れない反面、楽曲の知名度がずば抜けて高いです。
東北ずん子
東北ずん子は、2014年6月5日に株式会社AHSが発売したVOCALOIDです。
声優の佐藤聡美さんの声を元に生まれました。
当時のデモ曲は公式サイトから聴くことができます。
なお、2012年9月28日にVOICEROID+として発売されており、VOCALOIDは後から作られました。
東北ずん子自体は、株式会社AHSではなくSSS合同会社のキャラクターです。
歴史上初のオリジナル楽曲は、2014年5月29日にあえるさんが投稿した「オフトォンコーティングシステム」です。
上記は体験版を使用して作られたようです。
正式版リリース以降なら2014年6月5日にななしさんが投稿した「ずん子かぞえうた」です。
東北ずん子の代表曲は、トライアドさんの「羽のない背中に」辺りでしょう。
どちらかというとVOICEROID(読み上げ)としての知名度が高いイメージがありますが、実はVOCALOIDでもあります。(さらに後にNEUTRINOバージョンもリリース)
音街ウナ
音街ウナは、2016年7月30日に株式会社インターネットが発売したVOCALOIDです。
声優の田中あいみさんの声を元に生まれました。
当時のデモ曲は以下です。
なお、音街ウナ自体は、株式会社インターネットではなく株式会社エム・ティー・ケーのキャラクターです。
歴史上初のオリジナル楽曲は、2016年7月30日にシカクドットさんが投稿した「カラフルエモーションズ」です。
音街ウナの代表曲は、キノシタさんの「ポジティブ☆ダンスタイム」や「ポッピンキャンディ☆フィーバー!」、和田たけあき(くらげP)さんの「ビースト・ダンス」辺りでしょう。
音街ウナというキャラクターに対して上記の曲のようなイメージを抱いている方が多いのではないでしょうか?
紲星あかり
紲星あかりは、2018年4月26日に株式会社AHSが発売したVOCALOIDです。
声優の米澤円さんの声を元に生まれました。
当時のデモ曲は公式YouTubeチャンネルの動画から聴くことができます。
なお、2017年12月22日にVOICEROID2として発売されており、VOCALOIDは後から作られました。
紲星あかり自体は、株式会社AHSではなく株式会社バンピーファクトリーのキャラクターです。
歴史上初のオリジナル楽曲は、なんと2曲あります。
どちらも2018年4月26日 0時00分投稿です。
1曲目はneko-melonさんが投稿した「崩壊文明と雪兎」、
2曲目はholon(五日P)さんが投稿した「ルミナス・キングダム」です。
VOICEROID時代も含めると2017年12月30日にTakahomさんが投稿した「ココアドロップ」が最古です。
まれに読み上げソフトに歌わせる勢(GYARIさんなど)を観測しますが、どうなっているんですかね?
紲星あかりの代表曲は、GYARIさんの「アカリがやってきたぞっ」辺りでしょう。
VOICEROIDが先に発売されたこともあって読み上げのイメージが強いと思いますが、実はVOCALOIDでもあります。
歴史を作り続ける「ボカロ曲」
今回は紹介しませんでしたが、CeVIO AIやNEUTRINOは、VOCALOIDと同じかそれ以上の歌声だと思います。
「AIきりたん」を知っている方もいるかもしれません。
私はこの界隈にアンテナを張っていなかったのですが、2022年9月頃にひょんなことから「ずんだもんあそ~と」というずんだもんの合同同人誌を買ったんですよ。
この同人誌にはCDが付属しています。
番号順に全て視聴したのですが、1曲目のひらうみさんの曲「ずんだのアイドルになるのだ!」を聴いた時点で衝撃が走りました。
これは「AIずんだもん」と呼ばれるもので、NEUTRINOが使われています。
上記の曲の投稿日は2022年12月になっていますが、「ずんだもんあそ~と」は2022年9月に頒布されたため、初物ということになります。
ずんだもんにはUTAU版とVOICEVOX版があり、2022年8月1日にNEUTRINO版がリリースされました。
NEUTRINOやCeVIO AIには、AIによる歌声合成技術が搭載されています。
2022年はMidjourneyやStable DiffusionなどのAI画像生成ツールやChatGPTなどAIチャットツールが話題になった年ですが、こんなところにもAIによる進化が見て取れます。
実はVOICEVOXにもAIが使われています。
VOICEVOXは読み上げるソフトなのに対し、NEUTRINOは歌えるソフトです。
「具体的に何が違うの?」という対比が、下記の動画に表れていて良かったです。
AIずんだもんに「ロキ」を歌わせてみた【NEUTRINO&歌うVOICEVOX/カバー】
ずんだもんの歌声比較 【NEUTRINO / VOICEVOX】
これらは今までのVOCALOIDを超えた歌声であると言っても過言ではないでしょう。
2003年に登場したVOCALOIDですが、ここにきてライバルが台頭してきた実感があります。
ところで、今の初音ミクがVOCALOIDではないことをご存じでしたか?
執筆時点で最新の初音ミクは「初音ミク NT」と言われる、クリプトン社独自のリシンセシス技術を使った歌声になっています。
それより前の初音ミクはYAMAHA社の歌声合成技術「VOCALOID」による歌声でしたが、初音ミク NTには異なる技術が使われています。
この記事では「VOCALOID製品で歌わせたのがボカロ曲である」と暫定的に定義し、紹介してきましたが、未来では「合成音声による歌は、すべて広義のボカロ曲である」という認知が今よりもさらに進むでしょう。
VOICEROIDで作られた楽曲ですが、これも広義のボカロ曲ですよね?
そんな境地に立たされているVOCALOIDですが、負けてはいません。
2022年10月13日に発売したVOCALOID6には、VOCALOID:AIと言われるAI歌声合成技術が搭載されています。
執筆時点ではGUMIがこれに対応しています。
20周年を迎えたYAMAHAのVOCALOIDですが、20年間守られた牙城の門も変わりつつあります。
「ボカロ曲」は歴史を作り続けるでしょう。
今までもこれからも、私は楽しみです。
あとがき
私自身、調べて初めて知ったことがとても多かったです。
今回調べていて、動画サイト登場前は音源の投稿先がバラけていたのが印象的でした。
動画サイト登場後もYouTubeとニコニコ動画でバラけてはいるのですが、性質が違います。
恐らくですが、muzieを初めとしたサイトは(私のような)同人音楽好きしか見なかったのでしょう。
動画サイトは違いました。
一般層が見るものだったからです。
動画サイトの火付け役になったニコニコ動画と同時期に登場した初音ミクにより、それまでコアな存在だったVOCALOIDが一般層にも知られることで、ボカロブームが爆発的に起こり今に至っています。
裏を返せば、動画サイト登場前にボカロが熟成される期間があったということでもあります。
当時の2chのDTM板・muzie・プレイヤーズ王国のようなサイトの存在が大きかったことが改めて分かりました。
ちなみに今回、私が調べていて最も心を揺さぶられた曲は「メロディック妹メタル」でした。
初期のYouTubeってこういう雰囲気の動画が多かった記憶があるんですよ。
曲自身の雰囲気も相まって、ノスタルジックな気持ちになってしまいました。
15~16年くらい前にYouTubeを見ていたことがあります。おもしろフラッシュがギリギリ生きていた辺りの時代です。
え、初音ミク15周年? 嘘だろ